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労務相談FAQ
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■人事労務検定 2級レベル
Q 弊社では、給与を現金ではなく、会社の指定する銀行に口座を開設させて振込をしています。10人ほどの会社ですので今までは文句をいう人もいなかったのですが、このたび入社したある社員が「会社の指定する銀行では口座を開設したくない」と社長に意見してきました。 そこで会社としては、「今までの決まりでそのように社員には協力してもらっているし、就業規則にも書いてあるので業務命令には従うように。」と強気で答えてしまいました。実際のところは、法律どおりに考えるとどのような対応をすればよかったのでしょうか? A 今回の場合は、社員が指定する銀行口座に給与を振り込むか、現金払いをするのが正しいといえるでしょう。就業規則に書いてあっても法律に反するものは有効ではありません。 労働基準法では、「給与は通貨(現金)で直接労働者に、その全額を、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない」と定められています。 すなわち給与は口座振込みではなく、原則は通貨で支払わなければならないとされており、その例外として口座振込みによる支払は認められているのです。あまりにも口座振込が当たり前になっている現代においては、ちょっと不思議に思う方も多いことでしょう。 そしてその給与振込は労働者の同意を得た場合に限り行うことができます。 今回の場合、同意は得られないということになります。社員も会社の指定する銀行に開設したくない理由があるのでしょうし、他の銀行のほうが引き落としなどがあるから便利という理由かもしれません。 通常は、振込金融機関や口座番号等を記入する書式があってそれを会社に提出することにより給与振込の同意も兼ねているとみなすことができます。 最後に1つだけ大事な通達をご紹介しておきます。「口座振込みを行う場合は、口座振込み等がなされた賃金は、所定の賃金支払日の午前10時までに払い出し又は払い戻しが可能となっていること。」(H10.9.10 基発第530号) とありますので当日の午後3時には入金しておくからというのは駄目ということになります。 |
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